埼玉県東松山市の神戸妙昌寺では、「子供」をキーワードに、「いのちの共同体」の復興を目指して村井惇匡住職が中心となってさまざまな取り組みを行っている。お寺の役割を「嬉しいことも苦しいことも共有できるコミュニティー」と位置づけ、「春まつり」や「子供道場」といった子供を対象とした行事の数々を行っている。

誕生佛に甘茶をかける華の子たち
村井住職は5年前に同寺に赴任して以来、精力的に布教・教化活動を繰り広げている。
例えば、平成20年度の同寺の行事予定を見ると、毎月3回開かれる「お題目講」と毎月最終土曜日に開かれる「月例せがき法要」のほかに、4月「春まつり」6月「盆供」7月「おぼんせがき法要」という具合にほぼ毎月、何らかの行事が予定されている。数にして、年間14回もの行事が執り行われるのである。
これらの行事はすべて村井住職が企画・立案し、実現してきたものだ。村井住職が赴任する前は10年以上に渡って同寺には住職がいない、いわゆる「無住」のお寺だったため、活動らしい活動は行われていなかった。この期間に相当数の檀信徒がお寺から離れて行った。しかし、村井住職は過去にとらわれず、自由に改革ができるという意味で「マイナスからのスタートというのはラッキーだった」と語る。5年間の取り組みの結果、そのうちの約半数は同寺にお墓があるだけの「墓檀家」ではあるものの、300名にまで檀家数が増えたという。
当然、檀信徒はお寺にとってその存在を裏付けする重要な要素であると同時に、大切な収入源である。言葉を変えれば、檀家や地域が必要としないお寺は、衰退を余儀なくされるのである。しかし村井住職の考えるお寺は、檀家や地域だけのためのものではない。「苦しんでいる人の心を癒せる時間と空間を提供すること」がお寺の役割であるという。したがって、檀家でなくてもお寺に来る人には供養も祈祷も分け隔てなく行う。「来る人は拒まない」というのが基本方針だ。

起震車で大規模地震の体験をする参加者たち。
春まつりでは公益性のあるアトラクションも毎年用意されている

境内にあるサルスベリ。山桜とモミジが着生する珍しいもので、東松山市の名木にも選ばれている

よさこいを披露する参加者たち

村井惇匡住職

春祈祷祭に集まった人々。
参加者全員、1人ひとりに祈祷を授ける